インターネットというものが普及するにつれて、文章を書く技術というのはとても大事なってきているように感じます。
もちろん動画だったり写真だったりそういうマルチメディア的なネット環境もどんどん普及していることは事実ですが、インターネットの根本にあるのはやはり読むという行為でしょう。。
ということで、今回は文章術についての本をご紹介したいと思います。
論理的な文章ってなんだ?に答えてくれる本
大抵の人は、学生の時や、社会人になってからも「論理的な文章を書きなさい!」というような注意を一回か二回は絶対に受けた事があるんじゃないでしょうか?
でも、論理的な文章と言われても、そもそもその論理的という意味がよくわかってないし、誰かが教えてくれるわけでもありませんでしたし。(国語の先生教えてくれていたらごめんなさい、聞いてませんでした!)
そんな時、知人から一冊の本を紹介されました。
それが、今回ご紹介する「伝わる ・ 揺さぶる!文章を書く」です。
この本の良いところは、とても簡潔(文庫本1冊)に論理的な文章の書き方と使用例がまとめてやることです。そして、この方法論はルールを守れば誰でも使える、再現性が高いテクニックであることです。
要は、本は薄っぺらいのに大事なことがいっぱい書いてあって、しかも誰でも使えるテクニック!ということですね。
論理的な文章に必要な三つのポイントとは?
きっと、細かく読み返すほど重要な点がたくさん詰め込まれているんでしょうけど、一番理解に残って、なるほど!!と思ったのは、論理的な文章には以下の三つを必ず盛り込めという話です。
論点;自分はこの問題について、どのような角度、切り口から考えを述べているのか。
意見:論点に対する自分の考え、言いたいこと。
論拠:自分の意見が正しいものであるという理由、証拠、データ。
本当に今まで悩んでいたのが馬鹿らしくなる位、論理的な文章というのはシンプルなものでした。この三つの要素を揃えるということだけだったんですから。
長い一冊の本だとしても、結局は、一冊を通して問われている一つの大きな「論点・意見・根拠」の三つのワンセグがあり、そのワンセットの流れをつくるように、また別の小さな「論点・意見・論拠」のセットが並んでいるんですね。
小さな「論点・意見・根拠」がたくさん組み合わさると、一つの大きな「論点・意見・論拠」ができあがり、その構造こそが文章を論理的にしてくれるのです。
論理的な文章力と説明してきましたが、結局は同じことが会話の中にも言えます。論理的な話し方をする人というのは同じように「論点・意見・論拠」この三つが会話に含まれているというだけなんですね。
論理的な文章と論理的でない文章の例
三つのポイントが大事大事と言ってきましたが、何かサンプルがないとよく分からないと思うので、本の中にあった例をひとつ抜粋したいと思います。
保育園児の子供を持つお母さんが、自分の子どもの体調が良くないので、保育士さんにそのことを伝える文章を書いた時の文章です。
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論理的でない文章
今日は、うちの子は、休ませるほどではないのですが、ほんのちょっとだけ熱があります。
この文章、ぱっと見伝わりそうではありますが、いざあなたが保育士さんの立場とすると、ちょっと恐くなってくる文章でもあります。
なぜなら、この文章には意見が入っていないからです。
熱があることは分かったのですが、その子に何をしてあげれば良いのか?寝かせて休ませるべきか?運動させなければ大丈夫か?どうしていいのかが、文書に含まれていないため、保育士さんは自分自身でその判断をしなければなりません。
モンスターペアレンツが相手だったら、一気に責任問題ものになりますね。続いて論理的な文章を見てみましょう。
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論理的な文章
今日、うちの太郎は微熱があります。この時期よくある事なので心配はないのですが、大事をとって、外での運動のみ休ませて下さい。
こちらの文章にはさっき説明した三つの点が含まれています。
論点:本日、太郎への対応をどうして欲しいか?
論拠:微熱があるので。
意見:外での運動だけはさせないで欲しい。
この文章であれば、保育士さんは、何について論じているのか、どうして欲しいとているのか、その理由は何か、ということがきちんと読み取れます。つまり保育士さんは外での運動をさせないという選択をとればいいってことすぐにわかり、きちんと意思疎通ができてるのです。
書き手と読み手が同じイメージを持ち意思疎通ができる、これが論理的な文章というものです。
論点にこそ自分のオリジナリティが出る
私もう一つ僕がこの本を読んで凄く良かったと思ったことが、文章を書くことがとても楽しくなったこと。
今まで書くことが嫌だなぁと思っていたときは、テーマや自分の言いたいことがハッキリしないまま文章を書いていたと思う。だから、決められた文字量をなんとか捻出するという、単純労働的な書き方になっていたのではないでしょうか。
そんな中この本では、論点こそが文章を書く人間の個性を表すとされています。
新聞であったり、評論家であったり、あるいはお笑いなどのエンターテイナーも、その作品が面白いかどうかは、この論点をどこに置くかというところにあるんだと思います。
新聞やニュースなどでも、事実起きたことをありのままに書く人も多いが、そこには、その人自身の視点というものが入っておらず、読んでいるわれわれとしても、「ああそういう事が起きたんだな」あというくらいにしか感じません。
しかし、優秀な記者というのは、起きた事件、物事について、自分のオリジナルの見方が入っています。
なるほど、この事件の本質は、犯人ではなく、周りの環境の方にあったのか。というようにわれわれ視聴者に思いもよらない気づきを与えてくれます。
きっとお笑いとかの世界も一緒で、普通に日常のどこでも起こっていることを、お笑い芸人は独自の視点で見て、それをさも特別で面白いことが目の前で起きているかのように、おもしろおかしく伝える眼力に長けているのでしょう。
こう考えれば、何か文を書く前に、このテーマについて、自分はどういう方向から見てやろうか?何か面白い視点はないだろうか?というように、自分の視点、考え、オリジナリティにもとづいて、それを誰かに伝えたい!という新しい楽しみ方が生まれてくると思います。
単なる文字制限をこなすだけの文章よりも、はるかに良い文章になるのは明白です。
この、論点・切り口を探すことこそ、自分の文章の価値ということに気づけたことこそが、何よりの収穫だったかもしれません。
人の心に届く論理的な文章を書きたければ、すぐにでも読むべき一冊
仕事で上司や先輩に論理的でないと指摘されるのはとても悔しいことです。
そういう人たちに、二度とバカにされないように、早速この本を読んで文章を変えて見ましょう。
そして、この本のとおり論理的な文章を書いているのに、その文章にケチをつけられたら、こんどはこっちから言ってやりましょう。
「この文章がなぜ論理的でないのか?論理的にご説明ください。」
とかね。。。